300人が本棚に入れています
本棚に追加
――――いいのか?
否、良いわけがない。こんな形で人生を終わらせるわけにはいかない。
だが俺が見るからに武士なこの男に勝てるわけがない。
だからせめて、今まで十七年間の冴えない人生。最後くらいはいい格好をさせてくれ。
こいつと闘って、宇田切を無事に逃がしてやりたい。
神様とかは信じたことはないが、もしいるなら俺の言葉を聴いてくれ。それぐらいはやらせてくれ。
「・・・・信長様の天下に、まずは一歩」
毛利が俺の目の前で刀を振り下ろした。
死を察した瞬間は不思議な感覚があった。刀の動きがスロー映像を再生しているかのように見える。
恐怖心で身体が動かない。どうしようもない。
だけど、このままでは死ねない。俺がやられれば宇田切も殺されるかもしれない。
神様、この娘は俺を守ろうとしてくれた。だから俺にも守らせてくれ。
俺の前世が戦国大名だったら、数百人の人間を守ってたはずだ。
俺の心に、魂に、軍神とか龍とかの力があるなら・・・・・・・・
「・・・・・・・・女の子一人ぐらい、護れるはずだろぉぉぉーーーーーー!!!!」
思考回路なんて働いていない。ただ構えていた小刀を突き出すしか俺にはできなかった。
視界もホワイトアウトし、その瞬間に何が起こったか、俺はどうなったのかわからなかった。
最初のコメントを投稿しよう!