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「しかしこの小太刀、我には扱いきれぬな。少し手を加えさせてもらおう」
そう言って俺は小刀を持つ右手にぐっと力を込めた。
なにをする気だ、と毛利が警戒して刀を構えた。
こっちが訊きたいくらいだ。俺はいったい何をするつもりなんだ?
自分で自分の行動に疑問を抱いていると、いきなり小刀がまばゆい光を放った。
「・・・・・・・・・・・・なんだ!?」
だからこっちが訊きたいって。ていうか・・・・・・・・、なにこれ!?俺マジでなにしたの!!?
小刀は輝きをさらに強め、刀身が光の中に消えて見えなくなった。
しかし俺はその光から目を離さない。正確に言えば俺が凝視しているわけではないのだが。
今まで生きてきてこんな光は見たことがない。眩しすぎる。目がつぶれる。
次第に小刀は輝きを弱めていった。そして見えなくなっていた刀身が姿を現す。
・・・・・・・・・・・・え?
眼がおかしくなったんだろうか。それとも幻覚でも見てるんだろうか。
輝きを失った小刀は、形を変えていた。
手先から肘ぐらいまでしかなかったはずの刀身は伸び、腕と同じくらいの長さに。
その左右からは各三つずつ、枝のように小さな刃が突出していた。
妙な形の刀だ。だがなんだろう。この刀、見覚えがある。
そうだ夢の中だ。俺は夢の中でこれに似た刀を持っていた。
「ふむ。やはり七支刀はしっくりくる」
七支刀。そういう名前なのかこの刀。
俺はそれを一度二度なにもない空で振り、毛利に七つの刃先を向けた。
「来るがいい、織田の差し金よ。軍神の力、とくと見せてやろう」
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