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・・・・・・・・・・・・行った。行ってしまった。
折れた刀を回収し、毛利は走って夕闇の中へ消えてしまった。
『この戦い、貴公が思われているより辛いものとなる。油断めされるな』
と、意味深な言葉を残して。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ふざけ
「んじゃねぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」
吠えた。力の限りに。
ていうか、あれ?今俺が言った?
俺の言葉を俺が言った?
やっと上杉謙信から解放され、身体の所有権が上杉虎太郎に戻された。
よかった・・・・、いや!よくない!
奴が!上杉謙信が変なこと言うから俺の平和が脅かされる!
今すぐ訂正したい。あれは俺の言葉じゃないと、俺の意志じゃないと!
「殿ーーーッ!」
「ぐおっ!?」
宇田切がいきなり背後から飛びついてきた。
さっきまで弱っていたのが嘘のように、抱きつく力は強く、血色はよく、眼は輝いている。
というか密着してくれてるおかげで、その・・・・・・・・、外側からは見てもわからなかった大きめの胸が背中に当たってるんですが・・・・。
「臣下がこんなこと、許されざることとは理解しています!ですがなにとぞ、なにとぞ今だけは!!」
「ちょ!宇田切!?落ちつけ!つーかお前ケガは!?」
「止血したので問題ありません!それより殿、刺客の撃退、お見事にございます!」
・・・・・・・・それ、正確には俺がやったんじゃないんだがな。
だが俺はそれを口には出せない。宇田切の瞳がまぶしすぎて、なにも言えないんだ。
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