プロローグ

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何故だ? 何故こんな事になった? 「判決を言い渡す!」 私の目の前には、色んな国の男たちが座っている。 「被告人は、捕虜に対して残虐極まりない行いをした。 よって、死刑に処す!」 ハンマーが叩かれ、両脇にいた兵士が私の腕を掴む。 軍人になった以上、死は覚悟していた。 だから、死ぬことに恐れはない。 しかし。しかし、だ。 自転車すら使えない、道と呼ぶのも気が引ける獣道。 歩くのも大変な獣道を数十キロ進んだ先にある密林の中。 そこにいる大量の人間をどうやって運べというのだ? 餓死寸前まで痩せ細り、病気になっている者も多かった。 半島だが、海には機雷がギッシリと敷設され、海路での搬送は不可能。 歩かせて移動させる以外に、どうしろと言うのだ! …だが、それを言った所で判決は覆らないだろう。 ああ、理不尽だ。 こんな世界…
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