2人が本棚に入れています
本棚に追加
春も間近な2月下旬
一人の男が、繁華街へと足を踏み入れた。
ニット帽に、黒色のジーンズ・上着は軽い茶色がかったジャケットを羽織らせ。辺りをキョロキョロと見渡したかと思うと、軽やかな足どりで・繁華街を歩きはじめた。
その男が、店の前を通る度に。あちらこちらから
「今日は、如何様で?」
「「ソープ?ヘルス?おさわり?スナック?キャバ?」」
こう言った言葉が、街頭に立つ人達から浴びせられていた。
だが、その男は全く反応を見せずに。黙々と歩いて、とある店の前で足を止め。
「久しぶり・・か」
そう呟くと、その店の扉を多少強引に開いた。扉が開くと同時に、ドアに飾ってある。鈴が鳴り出し、奥の方から40くらいのこの店のママだろうか?ゆっくりと出てきたと思うと、入って来た男を見るなり。手に持っていた、名刺を床に落とし。
もう一方の手を口に翳すと、黙って何度も何度も首を上下に動かし。
「何時もの、席ね」
奮えながら、男へ声をかけた。そのママの言葉に、男は黙って頷くと。
カウンターテーブルの、はじの席へと腰を降ろした。
最初のコメントを投稿しよう!