ふっ切れた想い

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春も間近な2月下旬 一人の男が、繁華街へと足を踏み入れた。 ニット帽に、黒色のジーンズ・上着は軽い茶色がかったジャケットを羽織らせ。辺りをキョロキョロと見渡したかと思うと、軽やかな足どりで・繁華街を歩きはじめた。 その男が、店の前を通る度に。あちらこちらから 「今日は、如何様で?」 「「ソープ?ヘルス?おさわり?スナック?キャバ?」」 こう言った言葉が、街頭に立つ人達から浴びせられていた。 だが、その男は全く反応を見せずに。黙々と歩いて、とある店の前で足を止め。 「久しぶり・・か」 そう呟くと、その店の扉を多少強引に開いた。扉が開くと同時に、ドアに飾ってある。鈴が鳴り出し、奥の方から40くらいのこの店のママだろうか?ゆっくりと出てきたと思うと、入って来た男を見るなり。手に持っていた、名刺を床に落とし。 もう一方の手を口に翳すと、黙って何度も何度も首を上下に動かし。 「何時もの、席ね」 奮えながら、男へ声をかけた。そのママの言葉に、男は黙って頷くと。 カウンターテーブルの、はじの席へと腰を降ろした。
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