第一章〈志穂〉

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気持ち悪いっ 「やめてください」 部長ということも忘れ、思いっきり手を振り払った。 私と部長の間に不穏な空気が漂う。 「失礼します」 そんなタイミングを見計らったように、 部長室に入ってきたのは私の同期の伊藤 海斗(いとう かいと)。 入社したときから、やり手で皆から一目置かれてる。 その上、顔が整っていて女子の人気の的。 「なんだね、伊藤君」 仕事が出来る人嫌いな部長は海斗の入室に渋い顔をする。 「水上さんに急ぎの用事がありまして。失礼を承知でお話中に入らしていただきました。では」 海斗はそういうと私の手を掴んで部長室を後にした。 。
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