1

2/11
437人が本棚に入れています
本棚に追加
/175ページ
とある学校のとある教室で、私は机に突っ伏していた。 2月も後半のこの日は久しぶりの登校日である。 受験も大体の人が終わり、教室は前に来た時より活気がある……ような気がしなくもない。 正直、以前の教室の雰囲気なんて覚えてないし。 まあ、うるさいことは確かで、キャーキャーとはしゃいでいる声がそこら中から聞こえた。 今の時間は一応HRとなっているけれど、連絡もないので実質自由時間なのだ。 先生はどこかへふらりと消えてしまい、注意する人もいない。 楽しそうなクラスメイトとは違い、持ってきた本も読み終わってしまい、することがなくなった私には非常に苦痛な時間だった。 友達なんて他のクラスにしかいないし、うるさくて眠ることも出来ない。 あぁ……家に帰りたい。 部屋のベッドでごろごろしたい。 用事もないのに何で学校来なきゃいけないんだろ。 顔を伏せたまま本日何度目かの溜息をついていると、突然耳元で笑い声が聞こえた。 『クスクス……憂鬱そうだねぇ。 やることないなら僕と遊ぼうよ』 肩がびくりと震える。 それを見た奴はまた笑う。 本当に……今日は嫌な日だ。 最近は幽霊なんて見なかったのに。なんでよりにもよってこいつが現れるんだ。 『何で無視するんだい?僕と君の仲だろう?』 ……我慢、我慢だ私。 ここで言い返したらおしまいだ。 たとえ、小学校時代にこいつのせいで数少ない友達すらも消えたとしても、今それを言ったらこいつの思うツボだ。
/175ページ

最初のコメントを投稿しよう!