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おそらく、私のすぐ真横にいるであろうそいつの顔はすぐに思い浮かぶ。 金髪碧眼の無駄に美形な青年。 その天使のような顔に昔の私はまんまと騙された。 小学校の時、私がからかいがいのある奴だと判断したこいつはこうしてたまにふらりと現れてはちょっかいをかけてくるのだ。 対処方はただ一つ。 無視するのみ。 『おや?無視するのかい? 酷いなぁ。幽霊の僕には君しかお喋りする人がいないというのに。 こんな哀れな僕を見放すとはなんて非道なんだろう! 君は悪魔の生まれ変わりに違いない!』 悪魔はお前だ! 私は知ってるぞ。 その顔で幽霊の女の人おとして侍らしてるの! それに生きてる人でも被害者私だけじゃないって聞いたし。 死んだおじいちゃんから聞いた話だからこれは確かなはず。 思わず言い返しそうになるのをなんとか堪えて、私はぎゅっと腕を握りしめた。 『あぁ……全くヒドイね。 僕は君の受験とやらが終わるのをじっと待っていたのに。 久しぶりに会えたと思ったら、声はおろか顔も見せてくれないなんて……』 ……騙されるな、私! こいつは演技派幽霊なんだ。 このか細くて、思わず慰めたくなるような声音は罠。 ひっかかって顔をあげたら最後、また恥ずかしい目に会うに違いないんだから。
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