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PM8:00
ミユキがリビングでテレビを見ていると、ドアチャイムが鳴った。
おそらくデリバリーだろう。黒岩は生活用品のほとんどをデリバリーでまかなっている。
おおきな袋を抱えて黒岩がミユキの傍らへやってきた。
「立て」
ベッドルームへ連れてゆく。
また、なにもしないで包帯を取り替えるだけなのだろう。
ミユキがパジャマの上衣を脱ぐと――
黒岩がいきなり覆いかぶさってきた。
濃厚なキス。
貪るように舌と舌が絡まりあう。
キスだけでミユキは濡れてきた。
濡れそぼったそこがひとりでに開いてゆく。
黒岩が挿し込む。
激しく腰を動かす。
ミユキも声をあげ、ふたりは同時に果てた。
黒岩は身支度を整えると、大きな袋のなかから簡易トイレと食料品、雑誌などを取り出し、ベッドの脇に置いた。
「朝までには戻る」
短く告げてベッドルームをでてゆく。
カチャリ、と部屋のドアが鳴った。
「!」
ミユキが情交の余韻からハッと目が覚め、ドアノブをつかむ。
ガチャ、ガチャ…。
閉じ込められた。
黒岩は仕事にいったのだ。
ミユキは瞬時に理解した。
仕事の前に女を抱く。
それが彼のいつものやり方なのだろう。
そのためにミユキは生かされているにすぎない。
でも…
気に入られれば別だ。
何度も肌を合わせれば情が移る。
黒岩に、そんな人間らしい感情が残っていればの話だが…。
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