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AM5:00
ベッドルームのドアが開いた。
眠れぬ一夜を過ごし、うとうとしかけたミユキは瞬時にはね起きた。
黒岩が立っていた。
黒岩はミユキにのしかかると、乱暴にパジャマをはぎとり、体を求めた。
それはまるで、傷ついた子供が母に甘えるような行為であった。
昨日の交合とは明らかに違う。
昨日は緊張を緩和するためのSEX。
帰ってきたいまは傷ついた体と心を癒すためのSEX。
ミユキは進んで黒岩を受け入れた。
ミユキを抱く黒岩の体からは――
血の臭いがした。
獣の臭いがした。
暴力の臭いがした。
それらを消すため、黒岩は女を抱くのだ。
情交が終わると、黒岩はミユキの左の乳房を撫でた。
乳首の右斜め上あたりだ。そこに赤いホクロがある。
「どうしたの…?」
ミユキがホクロをやさしく撫でる黒岩にきいた。
「いや…なんでもない」
黒岩が身を起こす。
部屋を出てキッチンに向かう。
ベッドルームのドアは開いたままだ。
ミユキものろのろと起き上がり、裸のままキッチンに立つ。
「なにをしている?」
「朝食の支度」
「必要ない」
ミネラルウォーターを飲みながら黒岩がイスに腰を下ろす。
「どうして?…お腹すいたでしょ」
ミユキの背中の傷が癒え、薄くなっている。
黒岩はその背中をじっとみつめるといった。
「でていけ」
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