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※お下品
ジーニアスからおくられる不躾な視線に、鉄次郎は居心地が悪くて身を捩った。
じろじろと見られる不快感に、むすっとした顔でジーニアスを睨む。しかしジーニアスは知ったことかと態度を改めはしない。何故ならこの男鉄次郎は、一ヶ月もジーニアスをほったらかしにした男なのだ。
あえて言おう、ジーニアスは鉄次郎を好いている。理由はなんだったか覚えていないのだが(悲しきかなジーニアスは記憶力に乏しかった)、気付いた時には己より幾分年上な鉄次郎に惚れていた。
受け入れてくれたのは同情か、はたまた何か利用でもするつもりか。ジーニアスは自分がこの男に愛されているとは微塵も思っていない。今回の出来事もそうだ、店を始めるだなんてジーニアスは聞いていなかった。
ヨシュアが知っていて己が知らないなんて、気に入らない。形だけであろうと、ジーニアスは恋人という立ち位置にいる筈なのだ。
「なに見てんだ」
不機嫌ですといった声で問われるも返事はしない。口を開けば出てきてしまいそうだった声を、どうにか飲み込む。"俺とお前の関係は"などという問い掛けをしては、今すら崩れ落ちてしまいそうだった。
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