兎を追いかけたら、そこは不思議の国だった

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「君が転校生?」 どこか面白がっているような声音に振り返ると、閉まっていたはずの門が人1人分ほどの隙間をあけて開いていた。 その合間から1人の男が顔を覗かせている。 「そうだけど」 俺が言うと、男は 「入りなよ。」 そう言って一歩門の内に入った。 俺は慌てて後を追う。 俺が入った途端後ろで門が閉まった。 ―自動かよ…金持ちだなこの学校は… なんてことを考えているとさっきの男が話しかけてきた。 「ねぇ君、『アリス』でしょ?」 顔を覗き込むように聞いてくる男。 「え?あぁ、亜璃澄だけど?」 いぶかしがりながら答えると心底嬉しそうに男は笑顔を見せた。 「やっぱりそうだよね。男になっても雰囲気は変わってないから、すぐ分かったよ。」 「は?え?何が?」 ―男になっても?雰囲気? 俺はずっと生物学的には男だったんだが? 「あれ?アリスもしかして憶えてない?」 「憶えてないもなにも、初対面だけど?ていうか俺ばっか呼び捨てで、まだお前の名前聞いてないんだけど?」 初対面、の辺りで一瞬男が哀しそうな顔をした。
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