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「失礼しました。行こう亜璃澄。」
「話はもう良いのかよ。」
「うん。」
挨拶をして、理事長室を出る。
しばらくお互い無言で静かな廊下を歩く。
沈黙が続くと人間、自然と周りを見渡してしまうもので、ふと窓から外を見てみると、そこは一面薔薇が咲き誇る中庭だった。
「なあ白川、この学校が薔薇ばっかりなのって理事長の趣味か?」
「…まぁ理事長の趣味ではないけど、この学校の薔薇は全部赤薔薇だよ。」
確かに見える範囲の薔薇は全部赤薔薇だった。
全部だなんてさすがに飽きそうだけどな。
「でも、確か学園の薔薇の中に一株だけ白薔薇があるみたいな噂が流れてたよ。」
「へぇ、そうなのか。」
「うん。それでその薔薇を見つけた2人は永遠に結ばれるんだって。」
「あぁ、よくあるよなそういうジンクス…ちょっと待て」
それを見つけた2人は永遠に結ばれる?
それはさてどういうことだ…
「ん?どうかした?」
「…ここ、男子校だよな?」
「そうだよ?それがどうかした?」
どうかした、じゃねえよ。
そこに疑問を持て。
男同士が結ばれてどうするんだ…
確かにそういう趣味を持った奴がいるのは常識として知ってるが…
男子校ってやっぱそっち系が多いのだろうか…?
てことはまさか…
「…お前もまさかそっち系の人?」
「えっ?そっち系ってどっち?」
「分からないなら、それで良いんだ。つかわからないでくれ。」
「そう?そんなことより、着いたよ。ここが亜璃澄の教室。」
やっとついたな。
え~と、俺は『2-A』か。
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