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「!…おい…(ドカッッ」
その途端に千里の声と、鈍い音が響き渡った。一瞬にして沈黙したが、一気に騒ぎ出した。
『おい、編入生が零夜様を殴ったぞ!!』
『いやぁー!零夜様ぁぁ』
『あいつ調子に乗りやがって!!』
ザワザワと周りの生徒たちが騒ぎ始めた。
「ッ…てめぇッ!!」
「食べ物を粗末にした。そしてお兄さんに水をかけた。もー許さねー」
もういっぺん、会長を殴ろうとした瞬間に
「おやめください!」
「止めろ」
先程のお兄さんと、千里が止めに入ってきた。
「…ぁ…」
ハッと我にかえり、周りが見ているのに気付いて握り締めていた拳を降ろした。
「零夜、そのぐらいにしときなさい。他の生徒のご迷惑ですよ」
「そーだよ、零ちゃーん。チワワ達が怖がってんじゃん」
「ケンカ…めっ」
「「 お腹すいたから、早くいこーよー」」
会長の周りにいた生徒会のメンバーも止めに入ってきた。
会長は「覚えとけ」と言い残して生徒会のメンバーを連れて、指定席へと向かった。
「…はぁ…俺のAランチ…」
「また、買うのか?」
律からそう言われて頷けば、お兄さんは
「良ければ新しい食事をお持ちいたします」
「あ、ありがとうございます!えっと、名前は…?」
「私の名前は、名取 遥と申します」
お兄さんはそれだけを言い残して、厨房へと戻った。
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