プロローグ

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「君、今幸せ?」 それが君が僕に言った最初の言葉。 学校の屋上でのんびり寝そべってたら、突如現れた転校生の君に最初に聞かれたこと。 普通変だろ。 もっとさ、あるじゃん。 部活なに?とか いつもここにいるの?とか そもそも 隣いい? ぐらい聞けよ。 人を見下ろしといて、なんだ。 色々思うことはあったけど、質問に答えることにした。 「幸せなんじゃない?」 君は、ちょっと笑って、また口を開いた。 「なんで?なんでそう思うの?」 面倒臭い奴だな。 一体どこまで話せばいい? 今始めて話したやつに。 でも、こういう質問は嫌いじゃない。 よく自問自答する。 高校生になって1年が過ぎ、将来なんてものが近くなった僕らには、たまに考えることなんじゃないかな。 僕はその中でもよく考える方だった。 中学の時なんて、今自分がご飯食べてる時に、世界では餓えで死んで行く子供達がいるんだ。なんて考えて、複雑な気持ちになったことはよくあった。 そう、意外とデリケートなんだ。 いや、悩んでる自分が好きだったのかも。 でも、そんなこと考えたって仕方ないし、キリがない。 そう、僕は高校生になって「大人な考え方」を身につけたんだ。 どこに生まれるかなんて運次第。 今自分がたまたま戦争を放棄し、そこそこの経済力のある、対外的に八方美人な国に生まれただけなのだ。宗教の対立も、島国だから隣国との領土問題もない。まあ、領海はあるけど。 でもほんとにたまたまなんだ。 そしてもっとたまたまなのが、うちが中流階級と上流階級の中間にいること。 金持ちじゃないけど、経済面で我慢したことはないかなってやつ。 欲しいものは何でも手にはいる。 もちろん常識の範囲内で。 でも、手に入れた事がない。 欲しい物がないんだ。 僕はもの凄く無欲な人間になった。 元々そうなのか、環境がそうしたのかなんて分からない。 結果的に無欲になったんだ。 小さい時から手のかからない子だったみたいだよ。 話が逸れたけど 所謂これが、世間で言うとこの「幸せ」だろ? これを全部話せって?
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