あまてるさんの、プロローグ。

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そして男はこの世に戻って来た。 彼はあの世の穢れを落とすために体を清めた。 そして。 右目から落ちた雫は少女になった。 左目と鼻から滴った雫は2人の少年になった。 男は、自らの役目を思い出した。 神を創り、この足で踏みしめている島を見守る事だ。 彼は少女に向かって口を開いた。 「お前の名前は……そうだな、天照だ。」 「はい。」 次に男は後ろの少年の一人に言葉を投げかける。 「お前は……月読だ。」 「……はい。」 男はもう一人の少年に言った。 「お前は……スサノヲだ。この島の周りにある海を治めてくれ。」 「おぅっ!」 少年は快活な返事を返すと、何処へと飛びさって行った。 「月読。お前は月からこの地の夜を見ていてくれ。」 「……分かった。」 少年はぼそっと返事をすると、霧の様に姿を消した。 「天照。」 「はい。」 「お前は…高天原を治めてくれ。」 高天原とは、この地の神々のみが訪れる事ができる、天上の地である。 そこを治めるという事は。 「頑張れよ、お前が一番偉いんだぞ。」 男は笑顔で天照と呼ばれた少女を励ました。 「はい。頑張ります。」 生まれたばかりの少女は理解出来なかった。 何故、目の前の男はこんなに哀しい目で笑うのだろう?
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