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いつもならば、ここで相手は大声を上げて驚くはずであった。
そうして、「ああそう言えば男子用のブレザー着てる!」と気付くのだが。
「はぁ、あのね、女の子が俺とか言っちゃいけません。口も悪いよ?まったく」
あろうことか説教をされた。
しかも、誤解も解けないまま。
目の前の婦警は、一ミリも疑う様子なく、まっすぐな目で七宮を見ていて励ますように彼の肩を叩いた。
「怖かったんだよね?強がらんでえいよ」
慰めるような優しげな声音と、聞き慣れない方言がポロリと彼女から漏れる。
そうして七宮から再度清水へと視線を移した湊は、ギッと彼を睨み付けた。
「ーー職務質問です。身分証を見せてください」
スッと右手を清水に向かって差し出し、身分証の提示を求めた彼女をどう止めるべきなのか。
七宮は思考する。
そう、勘違いその2。
(…………アンタが職務質問してんの、誘拐犯じゃなくて一応友人なんだが……)
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