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深い深い海の底に、珊瑚の壁と琥珀の窓の城がある。
そこは、人魚の王様と6人の姫の城。
その6人の姫の中でとりわけ末の姫は綺麗だった。
目は深海のごとく青く透き通り、肌は真珠のように白く、頬は桜のような薄いピンク色。
そして、人魚の中で誰も勝るものがいないほどの美しい声の持ち主であった。
人魚の世界では、15になると海の上の世界を見に行くことが許される。
末の人魚姫は姉達が見てきた人間界の様子をいつも胸をときめかして聞いていた。
そのうち、末の人魚姫は15歳を迎え、海の上に出る日がやってきた。
姫は上へ上へと喜びながらのぼっていった。
海から顔をだし、目に映ったのらそれは大きな、大きな船だった。
『・・・凄い』
思わず人魚姫は声を漏らした。
そして、人魚姫は船を追いかけ甲板の隙間からそっと中を覗いた。
船の中はにぎやかな音楽が流れ美しいドレスを着飾った人々が踊っている。
パーティをしているのだ。
その中にひときわ目をひく美しく凛々しい青年がいた。
その青年は、このパーティの主役である王子。
このパーティは、王子の16歳の誕生日を祝う誕生日パーティだったのだ。
『かっこいい・・・』
人魚姫は目を奪われ王子をただただ見つめていた。
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