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高校二年生。春。この季節の窓際の席は好きだ。髪をなびかせる麗らかな風が心地良い。
……早く終わらないかな。退屈そうに頬杖をつきながらも、思わず笑みを浮かべずにはいられなかった。
「ーーはい。では、これで委員会決めを終わりにします」
担任教師の一言でざわざわと席に戻る生徒達。窓から黒板に目を向けた瞬間、息が漏れた。
「HRが終わったらそれぞれの委員会の教室に移動して下さい」
なんで、まさか、どうして、と様々な言葉達が頭の中をぐるぐると回る。
「ーーちょっと、天音。何ボケっとしてんの。HR終わったよ」
一言ループの中に刺すような声が聞こえ、顔を上げた。こんな刺々しい言い方をするのは、クラスに一人しかいない。
「……秋乃」
「ほら、委員会始まるから。また話聞かせて」
口の端が上がっていたのはおそらく気のせいではない。絶対笑ってた……!
覚悟を決めて重い腰を上げようとした時、目の前に黒い影が落ちた。
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