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「望月さん?」
びくりと肩が震える。それと同時に私の名前知ってるんだと冷静に考えてる自分もいた。
「うん、そうだけど」
「よかった!クラス替わったばかりで、名前合ってるかちょっとヒヤヒヤした。二年五組の教室だって、行こ!」
そうはにかむ笑顔は想像以上に綺麗だった。呆けそうな表情を崩さないように後を追って教室を出る。
歩く度に揺れるセミロングの黒髪。膝にかかるスカート。足の長さを強調している紺のハイソックス。颯爽と歩く姿はまるでモデルの様。これは私の主観ではない。あくまで客観的にみての感想だ。
そして、模範的な生徒。その言葉がぴったりだ。
ーーただし。
ふと足を止めて振り返った。その姿でさえ様になっていて思わず息を呑んだ。
「あっごめん、名前ちゃんと言ってなかった。俺、藤宮ひなた。よろしく!」
ーー女子生徒、なら。
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