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「綺麗な髪してるなと思って」
「な、ちょ、ちょっと、急に人の髪に触るなんて失礼なんじゃない?」
そうだよね、と藤宮は全く悪びれなさそうに放す。……なにこの人。天然でタラシ?タチが悪すぎる。
「そういうのって気軽にするものじゃないと思うんだけど……!」
「ごめんね。でも綺麗だと思うよ、本当」
自分が何を言ってるか分かってるのだろうか。こうも繰り返し容姿端麗な人に連呼されると流石に照れる。ただでさえ免疫がないのに。
「いい。もう分かった。十分です」
「伝わったならいいよ!」
冷たく言い放ったはずなのに返ってきたのは笑顔だった。
困った。こんな人初めてだ。
「望月さん?」
項垂れている頭上から聞こえてきた声に心臓が跳ね上がる。
「紺野くん!」
「やっぱり。今年もよろしくね」
ふわりと笑いかける彼につられるように笑った。ああ、そうだ。私はこの為に……!
「今年もって?」
「ああ、去年も同じ図書委員だったの」
「……へえ、そういうこと」
去っていく紺野くんの後ろ姿に藤宮はぽつりと呟いた。
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