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「あんた、もてないだろう?」
繁徳は、レンタルDVDにバーコードチェッカーをあてようとした手を止めて、目の前に立つ客の顔を見た。
声の主は、見るからに七十近い、小柄な老婦人。
だが、その白髪を明るい茶に染めて緩やかにカールさせ、顔には黒く大きめのサングラスをかけている。
小奇麗な薄紫色のショールを羽織り、胸のまえで合わせるように持つ手の指には、大きな紫色の指輪が光る。
サングラスには繁徳にもよくわかるシャネルのロゴ。
薄紫色のショールには星の形をした細かなスパンコールがちりばめられていた。
派手なぶっ飛び婆さんだ!
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