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父の寝所の方に向かうと、話し声が聞こえた。父と正妻の寅子の母の声だ。少し怒っているように思われる。
「殿は本気ですの?」
と寅子の母は主が冗談を言っていたかのように聞き返した。
「ああ、もちろん。」
と、主はそれに対して平然と答えた。
「姫君を嫁に出すのですか?」
「ああ。鳳家がお家潰しになる前にな…。」
霞子は訳が分からなかった。
私達?が嫁ぐ?
お家潰し?
一体どういうこと――?
「――父上!!」
思わず大声を出してしまった。
「え。」
中にいた二人は驚いた。
「霞子!!」
主が急いで外を見た。
しかし、
「―…いない。」
辺りを見回してもいなかった。
「…ふふっ。寝言―…だったかもしれませんね。」
と寅子の母が冗談を言った。
「……後で見に行くか。」
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