1話 隠れ咲く

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「しかし、どうやって…。」 「2週間後に宮中で花見の宴がある。それに連れていこうと思う。」 確かにそうかもしれない。あの姫君が、世間のお目に止まる前に内裏で恥をさらされては困る。 「それは良いですが、肝心の姫様はどうなのでしょう?万が一内裏で騒がれるようなことがありましたら―…。」 紗の内心はとても不安だった。 「ならば、本人に直接聞こう。まあ、宴に行かない理由などないのだから。」 またも兄の主は、意味ありげに言った。 だが、断る理由が見当たらない。 「承りました。」 と言わざるを得ない…。 反論しても、世の中の最後は『権力行使』という言葉に敵うものはない。 紗はこの時気付いていなかっただろう。 主の言葉の裏にあるもの。自分の言葉の重さ。花見の宴というものを―…。
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