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「しかし、どうやって…。」
「2週間後に宮中で花見の宴がある。それに連れていこうと思う。」
確かにそうかもしれない。あの姫君が、世間のお目に止まる前に内裏で恥をさらされては困る。
「それは良いですが、肝心の姫様はどうなのでしょう?万が一内裏で騒がれるようなことがありましたら―…。」
紗の内心はとても不安だった。
「ならば、本人に直接聞こう。まあ、宴に行かない理由などないのだから。」
またも兄の主は、意味ありげに言った。
だが、断る理由が見当たらない。
「承りました。」
と言わざるを得ない…。
反論しても、世の中の最後は『権力行使』という言葉に敵うものはない。
紗はこの時気付いていなかっただろう。
主の言葉の裏にあるもの。自分の言葉の重さ。花見の宴というものを―…。
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