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「お久しぶり、十君」
「げっ…またアンタかよ。最悪」
夢の中で突然二人が別れてから一ヶ月が経って二人は再会した。
「まぁ…何となくアンタが出ると思ったよ。知らないとこだし」
「此処は私の友人の家だよ。寝る前に丁度考えていたんだよねー」
三木がそう言うと風景が歪みだし、龍安寺に変わった。
だが、その龍安寺は前回見た庭より多少綺麗になっていた。
「何か前見たのとちげぇな」
「そ。あの後見に行ったのよ龍安寺を」
「え、どうやって?」
「友人のコネさ」
「…こね?」
「人の繋がり?かな」
「へぇ…」
またもや知らない単語を口にする三木に、十は前に言った三木の推測が正しいのではと考えた。
“現実の人と人が同じ夢を見て会話をしているのだ”とーー
十が考えを巡らしていると、三木が突然「あれ?」と言って周りを見回し始めた。
十も同じように見上げると、風景が緑の多い丘に変わっていた。
「これ、梅?」
「あ…ああ。梅だ。考え事をする時に此処に来るからつい出てきたんだろうな。すまない」
「いや、いいよ。それより素敵な丘じゃない。夜になったら星が綺麗なんでしょうね」
すると直ぐに日が落ち、夜空を煌めく星が現れた。
それを見て三木は、感激のあまり口笛を吹き「ロマンチックだね」と十の意味の分からない単語を言って寝そべった。
「君も寝そべってごらんよ。凄く綺麗だよ」
「ああ」
十も言われた通りに寝そべり、夜空を眺めた。
「十君、けっこう夢を操れるようになったんじゃない?」
「夢を見る度に練習してる」
「努力家なんだね」
「…………」
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