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三木はそのままお茶を飲み続けた。
十はどうしても先ほどの映像が気になって仕方がなく、三木を盗み見ては溜息を吐いた。
流石の三木もそれに気付いて苦笑した。
「そんなに知りたいのか?さっきの映像が」
「まぁな。見覚えのある場所だからな」
三木はジッと十を見て「…成る程ね」と意味あり気な笑みを浮かべた。
「な、なんだよ」
「何をお悩みかね?私が相談に乗ってあげよう」
「だから何で上から目線なんだよ」
「成る程、成る程。最近弟分が言う事聞いてくれなくて困っているのだな?」
「な…」
十は眉を顰め、訝しげに三木を見た。
「け、偶々だ。どこもかしこも弟分ぐらい居るだろ」
「そうですね。しかし、先程君と出会った時まさに考え事をしていたではないか。言えるなら言ってごらんなさい。どうせ夢の中なのだから」
十は思った。内側にあるものを口に出せたらどんなに楽なのか…と。
暫くの沈黙の中、三木は遠くを見ながらお茶を飲み、十はどうすればいいのかひたすら考えていた。
突然十は右手を前に出して握り、開くと将棋の駒が現れ、机の上には白紙が現れた。
「駒と紙」
「そう、駒と紙。俺が今からやることに気付いたことがあったら助言して欲しいんだ」
そう言って十は白紙の上に駒を並べて置いた。
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