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「これが、君が私を殺せない理由。君が夢を操れない限り私に害はない。まぁ…背景が変わらないのはよほど君が故郷を恋しがっているのが強いからかな」
十はハッとして頭を横に振った。すると背景が一変し、何処かの寺の縁側に変わった。
「あーらら」
「ん?何処だここは」
「此処は龍安寺だよ」
「此処がか!?」
十は素早く立ち上がり、庭園を見回した。
「あくまで私が知っている龍安寺だけどね」
そう言って三木は微笑した。
「此処はお前が住んでいる場所なのか?」
「願わくば住みたいし、手に入れたいさ。しかし、此処は“皆の物”になってしまているから無理だろうね。ま、分からないけど」
十は不思議なものを見るかのような目で三木を見た。だが、三木は気にせず庭園を眺めていた。
「いやぁ…相も変わらず見事な庭だ」
十もその言葉に合わせて庭園を眺めた。
鳥のさえずり、塀から覗かせる紅葉の椛の木。
「紅葉も好きだけど…冬の龍安寺も素敵なのよねー」
すると椛の葉が全て落ち、雪が降り始た。
裸になった木に霜が付き、庭にも雪が積もり始めていた。
「これは雪景色…絶景だ…」
「でしょ?よく分かっているねー」
三木は共感者が出来た事を嬉しく思った。
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