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「最後に行ったのは一人旅した時で、その時は秋だったの。人気のある場所だから、沢山の人が居たんだ」
すると三木と十の座っている両側に人の幻が現れた。
十がまじまじと見ていると、自分と三木の装いと違うことに気付いた。
人々は庭を眺めては互いに笑い合ったり、持っている黒く四角い箱を覗いては庭を見ていた。
やがて幻は消え、三木と二人きりになった。
十は今見たことについて三木に追求しようしたが、思い留まった。
すると突然三木は立ち上がって蹴伸びをし、周りの風景も同調して変わっていった。
「おや、もうそろそろ起きるかもしれない」
「は?」
気付けば周りの風景が何かに引っ張られるように流れて行き、次第に加速していった。
十があたふたしていると、三木が突然腕を掴んだ。
「おい、何だいきなり」
「じゃ、またね!」
「は?どういうーー」
十の言葉は続くことはなかった。
三木の体が砂煙のように消え、同じように十も消えていったからだ。
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