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Prologue 始まりの終わり
・・・。
「時間はない。」
そう、少年は呟いた。
紅い月の光が満ちて、辺りは真紅に染まる。
その中に一人、少年は佇んでいる。
「これは賭けだ。失敗は許されない。だから・・・。」
そして少年は、詠唱するように言葉を紡いだ。誰にもわからないように、聞こえないように。
詠唱が終わるか終わらないうちに、地面が蒼白い光に包まれ、やがてその光は舞い上がるように空へ消えた。
・・・これでやっとか。
「フフッ・・・。成功してるか心配なの?大丈夫、《彼》が目覚めない限り、失敗はないよ。」
「そう・・・だな。」
物陰にいた彼女が光を見つめながら言った。
「それで、もう一人の《彼》・・・《器》は返事してくれそう?」
「さぁ?僕らには《器》が必要だからね。成功しても、返事なかったら失敗も同然だしね・・・まあ、返答を待つか。」
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