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「お願いします!連れて行かないで!お願い!いやっ!」
「オギャー!オギャー!オギャー!」
「宜しいでしょうか?」
兵士がその上の者に赤子を見せる。
「この赤子だ。宜しい連れていけ」
「お願いっ!連れて行かないで!!“リン”を連れて行かないで!いやぁぁぁあっ!」
━━━━━━
━━━
《数年後》
「レン…行くんだね」
「母さん…。俺はやっぱり探したい。会いたいんだ」
成長した息子の姿を老いた母がただ悲しそうに見つめる。
「ありがとう。心配しないで…ちゃんとリンと一緒に帰ってくるから」
「いいんだよ。体だけには気をつけて」
泣き続ける母にキツく抱き締めながら別れを告げる。
━【噂だとリンはこの先の東へ連れて行かれ聖地の歌姫としているらしい】
「リン」
小さい頃から幼く残る。
どこかで誰かが自分に歌ってくれているようなそんな歌が聞こえてくる。
気のせいではない。
彼女はあの聖地の地で歌を歌い続けているんだ。
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