†交流試合†

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「………そうですわ。その手がありましたわ!!」 「…楓君。運んでくれる?」 「……よし、来た!!」 楓君が右手を振り下ろすと、木々を揺らすほどの風が吹いて… 私達の身体を包んだ。 ……その風に乗って校舎へと向かい、放送室のベランダへと舞い降りる。 「…待って、今開ける。」 風と化して実体を消した楓君が、窓の隙間から滑り込んでから、しばらくして…… 中でカチャリと音がして戸が開いた。 「ありがとう、楓君。」 「いいって。それより……。」 「うん。」 中まで入って、放送室の機械にふれる。 音量、最大。 ……流す場所を示すスイッチを望と両端から準々に全部ONにしていって、準備が完了した。 問題は、歌。 この学園だけなら、校歌でも問題はないんだけど。 ………助力を期待出来るなら、白砂の生徒も知っている歌を選ぶのが最善のはずだ。 …童謡?……でも、みじかすぎる。 「zebra crossingの新曲。゛白黒の思い゛は、知ってます?」 ……そう言った望の手には、放送室に置きっぱなしにされていたCDが握られていた。 「チョコのCMの?」 確か、今人気のアイドルの新曲で。露暮夜がbitterチョコ、別バージョンで露暮光がwhiteチョコを食べるとゆう内容のCMにも使われていて… music番組でも何度か聞いている。 「歌えます事?」 「……歌えると思う。……ってか、会長や傑さん達の命を背負ってる以上、歌わなきゃ。…歌詞カード貸して?」 CDをセットしてカラオケを流すと… 私は、覚悟を決めて放送のスイッチをONにした。     
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