†交流試合†

102/111
前へ
/239ページ
次へ
……イントロが始まり、歌詞カードを広げる。 二人組のアイドルなので、くっきりと歌うパートが分かれていた。 望の指先が歌詞カードの夜の部分を差し、次に私を示す。 ……どうやら、私が夜のパートのようだ。 頷いて、マイクに口を近づけると。音を紡ぎ出し始めた。 『君の声。額に落ちた優しい手のひらは、昨日の夢。…俺の心にほんの少しのあたたかみを残して。 なのに、掴みきれずに。指先からすり抜けてくんだ。…どうか、俺の名を呼んで? Ah…喉が乾いて仕方ない。』 ………私の声に望の高い声が重なり、高音域でハモる。 『『駆け出して、叫んで、見つからないのは承知で、いつまでだって探すけど。 痛さに音をあげて立ち止まったんだ。 Ah… 声がききたいんだ。 ぎゅっと、抱きしめたいんだ。 その後、笑顔でお帰りを言うから。』』 ……みんな、どうか気付いて?この歌に組こんでる空間魔法に。 …助けるんだ、サザンドを。傑さんを。藤夜を。弥生さんを。 …………そして、この学園を…。 『『見上げる空から舞い降りる白の結晶を 早く降らせてくれ、俺に降らせてくれ。 君が帰ってくるはずの季節が近づいてる。』』   
/239ページ

最初のコメントを投稿しよう!

486人が本棚に入れています
本棚に追加