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……イントロが始まり、歌詞カードを広げる。
二人組のアイドルなので、くっきりと歌うパートが分かれていた。
望の指先が歌詞カードの夜の部分を差し、次に私を示す。
……どうやら、私が夜のパートのようだ。
頷いて、マイクに口を近づけると。音を紡ぎ出し始めた。
『君の声。額に落ちた優しい手のひらは、昨日の夢。…俺の心にほんの少しのあたたかみを残して。
なのに、掴みきれずに。指先からすり抜けてくんだ。…どうか、俺の名を呼んで?
Ah…喉が乾いて仕方ない。』
………私の声に望の高い声が重なり、高音域でハモる。
『『駆け出して、叫んで、見つからないのは承知で、いつまでだって探すけど。
痛さに音をあげて立ち止まったんだ。
Ah…
声がききたいんだ。
ぎゅっと、抱きしめたいんだ。
その後、笑顔でお帰りを言うから。』』
……みんな、どうか気付いて?この歌に組こんでる空間魔法に。
…助けるんだ、サザンドを。傑さんを。藤夜を。弥生さんを。
…………そして、この学園を…。
『『見上げる空から舞い降りる白の結晶を
早く降らせてくれ、俺に降らせてくれ。
君が帰ってくるはずの季節が近づいてる。』』
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