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-葎先輩side-
放送がスピーカーから流れはじめて、足を止めた。
…その歌声には、聞き覚えがあった。
「………あの馬鹿っ!!」
………事件が起こったのは、今から30分ほど前。
対戦相手の見事な魔法演舞が終わり、祈るような気持ちで舞台を見つめていた時…
……異変は起きた。
…会長の試合が始まると同時に、舞台上に巨大な魔法陣が浮かびあがり…
…巨大な植物魔法に会長が捕らえられた。
舞台上には、会長の対戦相手だった人。
白いマキシ丈のスカートにウェーブのかかったブロンドの髪に翡翠色の瞳。
口元は、醜く歪んでいた。
「…佐伯朔夜に伝えろ。コイツは人質だ。早く来ないと大変な事になる、とな。」
………そう言って、長いブロンドの鬘を外した顔には見覚えがあった。
………白砂の校長。
「…あぁ。早く会いたいよ朔夜。探して、捕まえて、閉じ込めて、僕だけのものにしてあげる。君の世界には僕だけいればいい。…素敵だろ?ははっ。全部、消してやる。」
………そう言った彼は、狂った瞳をしていた。
…紀藤先輩に押し付けて、送り出しておいて良かったと…
あの子だけでも逃がしてあげられた事に、心底ほっとしたのに…
……あの馬鹿は、何故。放送で歌っている?
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