†交流試合†

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……歌に組み込まれた力の方向とその意図する所には、気付いていた。 …もちろん、それに気付いたのは私だけではないらしく… 放送室に向けて走る私の耳には… あの子のまいた種が花開くように、至る所から歌声が響いていた。 あの子は、朔夜は… 自分を危険にさらしてみんなを… この学園を助けようとしている。 ならば… 私が、その朔夜を守る。 唇を噛み締めて、必死に足を動かして校舎を目指す。 魔力なんてとうに尽きてる。 けど……  奴の狙いは、あの子。 ……あんな放送、居場所をバラしているようなものだ。 奴はきっと、放送室に向かう。 せめて、この歌がおわるまでの時間稼ぎを… ……校舎に入ってすぐ、傘立てに立てかかっていた鉄バットが目に入って手に取った。 …何もないよりは、マシか。 ………それを引きずりながら、限界に近い体力で放送室目指して走り続けると… 放送室前でもみ合っている大地様と白砂の校長が目に入った。 大地様ももうほぼ、魔力がない。 「……っ、大地様を離せ。このっ!馬鹿っ!!」 大地様に覆い被さっている奴の背中を殴るが… …魔法でガードされて、はじかれた。 ……でも、諦めるわけにはいかない。 「…っ、ここは絶対通さないんだから。」 ………私だって守りたい。 あの子が守ろうとしているものを…。      
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