逃走劇の始まり

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「逃げんのかゴラァァ!!」 「あったりめぇだゴラァァ!!」 鉄の匂いが充満する廃工場 時は夕暮れ。海の近くということもあり沈みゆく夕日が燃え盛る炎のようにも見える そんな幻想的な情景をバックに、背後から迫り来るいかつい野郎共から走る走る走る 「ちくしょうまた騙された!」 これが何回目の罠なのか、自分でも数え切れないほどの数に呆れがくる きっかけはいつもどおりの下校時間。友達が少ない俺からしてみればこの時間はただの下校時刻 周りから聞こえる、このあとどこ行くー?とか、あそこに新しい喫茶店できたんだってー行ってみよーよー、とか聞こえるが俺にはまったくの無関係 それでも、高校ももう2年と少し通ったのだ。一人や二人ぐらいはできる つっても、合わせても三人だけど 「はぁ………」 いかんな、もっとポジティブに思考をチェンジしなければ そう思い今日も学校と家を往復してくれようとしている靴に感謝の気持ちを特に思い浮かべず下駄箱から靴を取り出す パサッ 「あ?」 靴を取り、一緒に落ちてきたのは一通の可愛らしい手紙
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