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基本、面倒くさいことは嫌いな俺だが、あくまでも面倒くさいことだ。好きなことだってある。例えば、『一方的な』暴力
それは本当に希にしか表立って出てこない欲求だが、一度現れるとすごいらしい。柚子談だ
らしい、というのは、俺にそのときの記憶がないのだ。暴れている時の記憶がないし、気がついたら何人もの不良が倒れているというのが大体。しかし、そのあとに待っているのは大きな達成感やら、優越感
しかも、さらに悪いことに、なぜ暴れたかすら覚えていないのだ。当事者に聞けばわかることなのだが、それに関わったものはみんな俺から離れていった
故に、友人が少なかった
記憶が飛ぶ。なんとも中二臭いが、本当のことだ。柚子が言っていた。あいつは俺以上に適当だが、嘘はつかない。お兄ちゃんが保証する
とまぁ、そんな俺でも他にも好きなことがある
「クレアさん!こっちですよ!」
「お、お兄ちゃん早いよ!クレアさん早く行こう?」
子供が大好きです
いや、決してロリコンではないんだ。もちろんショタコンでもない。どっちも好きだ……といえば語弊があるが、子供が好きなんだからしょうがない。そう、決してロリコンの類ではない。だからGU○Iに制裁されるいわれもない
「おや王子様!今日も元気ねぇ」
「はい!おばさんも変わらずに」
「いやだよぉこの子は……ほれ、りんごさ。採れたてさね」
「ありがとうございます!」
キールが顔を破顔して喜んでいる。ミールもりんごをもらって笑顔だ。そんな微笑ましい光景を傍から見て和んでいた俺にある会話が聞こえてきた
「おい、あいつなんださっきから王子と王女を見て……」
「怪しいな。絵に書いたように怪しい輩だ」
「これは通報したほうが……」
全俺が泣いた。そしてその場は、マジで通報されそうだったのでおばちゃんと談笑していたキールとミールを脇に抱え、全速力で逃走した
「お、王子と王女がさらわれたよぉぉ!!!」
後ろからおばちゃんが叫んでいるのが聞こえるが、俺は何も聞こえていない
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