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「いてて、うちの受付ちゃんは乱暴だなぁもう」
壁ぶち抜くほどの巴投げ食らったのにいててで済むなんて流石ですねギルドマスター
「それにしても『幻e……おっと、えぇと、クレアくん。魔力なしってのは本当かい?」
待ってました。そんだけの大犯罪者である『幻影』が魔力なしってのはおかしいからな。そこらへんはぬかりないぜ
「いや、それがな。実は俺、記憶がねぇんだよ」
「「「えっ!?」」」
ベッタベタだが、それ故に効果は折り紙つきのこの言い訳。いや、記憶喪失ほどいいごまかしはないな
「自分の出身地と能力。あと名前も覚えているんだがな。他はさっぱりだ。だから家名も思い出せん」
「で、でもそれじゃあなんで自分が『幻影』だってわかったんだい?」
「あぁ、キールはわかると思うが、ほら、俺あの草原のど真ん中にいただろ?あれも気がついたらって感じだし、あとは親切な元帥が教えてくれた」
「元帥!?もしかして戦争に突如として現れたって専らの噂になってる【黒い暴力】って君なのかい!?」
へぇ、俺そんな風に言われてるのか。まぁ、あの時はブチッときたからな。その表現も的を得ている。何より少しかっこいい。うむ、これ大事
「あぁ、雷のヤツと戦っている時に本能的にかな。断片だけ思い出した。国落としの時のな」
「成る程………普通元帥と戦ったらそんな余裕なんてないんだけどね。まぁそこは『幻影』だからか」
『幻影』というワードの存在感がでかすぎるな。さらけ出す気はサラサラないがいつかボロが出そうで怖いな
「まぁというわけだから俺に魔力検査だの属性検査だのはいらん」
「そうかい。それじゃあ「それと」……なんだい?」
「妙な真似はするなよ?例えば、俺のランクを無駄に大きくするとか」
「ギクッ」
「例えば、元帥とやらに推薦するために王に推薦状を送るとか」
「ギクギクッ」
「例えば、国の英雄だなんやらだと国中に言いふらすだとか」
「ギクギクギクッ」
やっぱな。言っておいて正解か。ふふふ、俺を舐めてもらっちゃこまるぜ。これでもフラグ避けには定評があるんだ
「まぁ?賢明で聡明で明瞭たる頭脳をお持ちのギルドマスターなら、そんなことはないと思うけど、な」
釘を刺す、なんて言葉があるが、生ぬるい。釘を刺し、周りを鉄で囲って釘を補強しセメントで埋めてメルトを熱唱するぐらいじゃないとな
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