0人が本棚に入れています
本棚に追加
「君は『恋』というものをどう考える?」
彼女は俺に、そんな質問をしてきた。
「いきなりなんだ?」
俺は質問に質問を返す。
「質問は私が先だ、先に答えてくれ」
「・・・・・・」
少し考え、俺は答える。
「『気の迷い』」
「・・・・・・何故そう考えるんだい?」
彼女はまた質問を投げ掛ける。
「俺としての経験が少ないからな、他人の話を客観的に見て思ったことだよ」
「随分と捻くれた考えだね。過去に何かあったのかい?」
「特になかったよ。だからこそ、一つの感情に振り回されて一喜一憂するような人生は嫌なんだ」
シェイクスピアの悲劇も、光の君の酒池肉林も、その他諸々も、俺は別に人生をそこまでアクティブに生きる気は毛頭無い。
「俺の人生を俺なりに生きて、最後は眠るように死ねたら本望さ」
「毎日を眠るように生きてるのにかい?」
彼女は小気味よくクスクスと笑う。
最初のコメントを投稿しよう!