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年が明け、学校が始まった。
郷田とは、クリスマスから一回も連絡を取っていない。
久しぶりに会う郷田の顔を平静に見られる自信がなかった。
「おっはよー」
後ろのドアから教室を覗いているときに、声をかけられ心臓が出そうになった。
「なにしてるん?」
「べ、べつに…」
郷田の顔を直視できずに、俯く。
「熱あるん?顔、赤ぇ」
郷田の手が伸びてくる。
その手を思いっきり振り払い、教室へ逃げた。
クリスマスから郷田を意識しだして、何も手につかなかった。
郷田はなんでキスなんかしたのだろう。
携帯を取り出すと、郷田からもらったストラップが光っていた。
「実はコレ、わいとお揃いなんや」
またも、いきなり声を掛けられて椅子から落ちそうになった。
しかし、郷田に腕を掴まれて支えられたため、落ちることはなかった。
掴まれた腕を思いっきり振りほどくと郷田は悲しそうな顔をした。
「そないにわいに触れられるの嫌か?」
「………」
嫌ではないが、体が勝手に反応してしまう。
自分でもどうしてこんなに過剰に反応するのかわからない。
「ちと距離置くか。落ち着くまで近づかへん」
そう言って郷田は自分の席に戻っていった。
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