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郷田は言葉の通り、俺に近づかなかった。
いつも郷田から俺の席までやってきてくれて、話し合い、笑い合っていた。
転入してきたときなんか相手にしていないのに、話しかけてきたくせに…。
今はそれさえ懐かしい。
もう郷田と話すことも遊びに行くこともできないのだろうか?
休み時間も放課後も、誰とも話さない郷田の姿を目で追う。
郷田は今、何を考えているのだろう?
俺のことを考えてくれている?
それとも、もう俺とは話したくなくて、離れたことに清々している?
郷田が転入してくる前は、いつもこうだったことを思い出した。
誰も近づいてくる者はいない。
時間がただ過ぎるだけ。
勉強をするだけの学校だったはずなのに、今は誰かと話したいと思っている自分がいる。
郷田と話したい。
笑い合いたい。
傍にいたい。
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