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答えが出る前に、郷田を追いかけ腕を掴んだ。
「嫌だ…。行くな」
泣きそうになるのを我慢する。
「一緒にいてくれ。俺は郷田と一緒にいたい」
「………」
なにも言わないで、郷田は優しく腕を外す。そして、また歩き始めた。
「義信っ!!」
名前を叫ぶと止まってくれた。
「俺は義信とずっとずっと一緒にいたいんだ。家は家、俺は俺とあの時言ってくれた義信が、俺には必要なんだよ」
義信がいないと俺は駄目になる。
何も手につかない。
何もできない奴になるんだ。
学校の…。しかも、人前で泣いた。
涙が止まらない。
「俺が嫌いか?離れたいか?もう…キスしてくれないか?」
泣き声にまぎれて、鼻をすする。
郷田の顔を見られず、俯く。
すると、あたたかい腕に包まれた。
「好きや」
抱きしめられ、耳元で囁かれる。
「好きや。拒否られたとしても、もう駄目や。我慢せん。わいは仁が好きや」
力いっぱい抱きしめられて痛かったが、心も体も温かく幸せな気持ちになれた。
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