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「クリスマスにキスしたんは、我慢できんかったからや。
キスしたあとは、アチャー…と思いながらも、学校がはじまるのが待ち遠しくて、
でも、怖くて、関西の実家をギリギリまで出なかったやで?
恐る恐る学校に来よったら、仁が真っ赤な可愛い顔をしておるから、つい触れたくなって手を伸ばしたんや。
そしたら、振り払われて、ショックやった。
でも、諦めきれなくてまた話しかけに行ったら、完全に拒まれておることがわかったんや。
せやから、仁への恋心が冷めるまで近づくのはやめてたのに…」
屋上の階段に場所を移し、今までのことを話し合った。
郷田がどんなことを考えていたのか、やっとわかってすっきりした。
「わいは仁のことが好きや。もう拒んでも遅いんやからな。力尽くでも手に入れるから諦めてくれ」
まっすぐ見つめられる。
やっと郷田の瞳に映っていると思うと嬉しくて顔が赤くなる。
「ずっと一緒にいてくれるか?」
「嫌といっても離れへん」
「そうか。なら、仕方がないか」
郷田の腕の中に凭れかかる。
大きな腕に抱きしめられ、心臓の音が聞こえる。
「仁はわいのこと好きか?」
「わからない」
郷田は一瞬、身体を強張らせた。
「でも…こうやって抱きしめてもらうのは嫌ではない」
そう言うと、また、力をいれて抱きしめられる。
そして、唇に郷田の唇が触れる。
「俺は、抱きしめられるのが嫌ではないと言っただけだが?」
「さっき言ってたやん。もうキスしてくれへんのか?って」
ニヤッと不敵に笑う。
俺は何も言わず、ただ身体を預けた。
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