心 愛 ~高校2年①

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「お先」 風呂を借りて、雨で冷たくなった体を温めた。 濡れた髪をバスタオルで拭く。 「制服は今、クリーニング頼んどいたから。 1,2時間で仕上げてもらうな」 「悪い」 はじめてお邪魔する義信の部屋は、パイプベッドに机だけの生活感があまり感じられない部屋だった。 「本棚ないのか?教科書が見当たらないけど??」 「ぜーんぶ、学校の机の中や」 「宿題は?」 「やってるわけないやろ」 そう言われて、今まで義信から勉強に関して教えてもらったことがなかったと気付いた。 「テスト大丈夫か?」 「赤点は取ってへん」 あまり納得できないが、これからは授業をあまりサボらないようにしようと思った。 「なぁ」 ベッドに座っている義信が、脚の間を指さす。 「なんだよ」 「ココ」 「だから、なんだよ」 「座って」 義信が、脚の間の隙間を叩いた。 「…無理」 恥ずかしくて座れるわけがない。 義信に背中を向けると、いきなり腕を引かれ、結局、義信の脚の間に座らされることになった。 「照れてるやろ?」 「離せ」 後ろから抱きしめられて、身動きが取れなかった。 「風呂入ってこい。叔父さんが言っていただろ。風邪引くなって」 「おっちゃん、おっちゃんってうるさいわ。仁が温めてくれればええやろ」 右肩に義信の額が乗せられ、さらに抱きしめられた。 背中からひんやりと義信の体温が移ってくる。 「義信。俺も寒いから、温まってから抱きしめろ」 「う~~~・・・」 「唸るな馬鹿。はやく入ってこい」 「ちぇ。30秒待っててな」 そう言うと、義信は風呂場へ行った。
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