波の欠片

失った人

ーーー失った人は少し、大切な人だったから。
少しだけ、大切な人になったから。

その人は、海が好きだったわけじゃないけれど、僕が死んだら灰を海にまいて欲しいと言っていた。
死んでからも窮屈な思いをするのは嫌だと、
笑っていた。
いつもはそんなふうに笑わないのに。