人ならざる存在(モノ)

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先程の理科の教科書紛失事件後、放課後。 鞄に荷物を詰め、ゆみちゃんと一緒に帰る。 ゆみちゃんが自転車の鍵の輪をくるくると回すのを見つめながら駐輪場へと向かう。 談笑しつつも、私の頭の中はバレッタさんのことでいっぱいだった。 バレッタさんも悪戯をして満足したのか 、あの後の授業は何の問題も起こらなかった。 授業には遅れてしまったが、たったの5分だし、一言の注意だけで終わった。 だけどこんな事ばかり続いてしまっては困るなあ。 先生に不真面目生徒印を捺されてしまう。 特別に成績が良い訳ではないので授業態度が悪いと思われてしまったら、成績に関わる。 なにか対策を練らなきゃなあ。 いつの間にか駅まで来たようだ。 バイバイ、また明日と手を振りゆみちゃんと別れた。 彼女は電車通のため、駅までしか一緒に帰れない。 彼女とは入学以来一緒に帰る仲にまでなった。 また1人で自転車に跨がり、漕ぎ出す。 商店街を抜け、全速力でこぎ続け、家の前の坂を登る。 4時前という何とも早い帰宅。 それも当然、だって私帰宅部だもん。
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