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着替え終えると携帯電話を開く。
高校入学と同時に買ってもらったものだ。
メール作成画面を開く。
数少ないアドレスの中からゆみちゃんを選択する。
迷った末に一言。
電話したいので、家に着いたらメールして下さい。
送信ボタンを押し、暫く待つ。
そろそろ家に着いた頃だろうか。
有名な歌手のサビが流れる。
メールで返ってくるものだと思っていたが、どうやら電話のようだ。
相手は分かっているので確認することなく出る。
「もしもし」
『七尾どうしたのー』
ゆみちゃんらしい元気な声。
「う、ん。今大丈夫?」
なかなか切り出す勇気が出ない。
『……聞いてもいいのかな?』
これは恐らく昼間の事なのだろう。
ゆみちゃんから言ってくれて助かった。
「私の噂、聞いた?」
中学の頃流れた噂。
『……うん』
「今まで仲良くしてくれてありがとう。これからはクラスメートとして仲良くしてくれると嬉しいな」
これで伝わるはず。
半年もゆみちゃんに無理させちゃったね。
『……ごめんね』
電話を切り、天井を見上げる。
これで明日からはゆみちゃんに無理をさせないで済む。
ちょっとだけ寂しいけどこれで良かったんだよね。
明日からは私とゆみちゃんはクラスメート。
多分ゆみちゃんのことだから今までとそんなに変わらなく接してくれるだろう。
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