prolog

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……クオン…クオン!聞いて!! 今、あなたの運命の人が占(み)えたの。 へぇ!母さんの占いって、よく当たるんだよね!ヨゲンって言われるくらい。 ふふ、そうよ。母さんは、この力で悪者の悪事を暴いたり、恋のキューピットになったりしていたのよ。 すっごぉい。 それでね。あなたの運命の人はね。 うん! とても、キレイな人だったわ。 ?美人さんなの? それもあるわ。 でも、それだけじゃない。 全てが『キレイ』な人。 遥か遠くから、住処を求めて、あなたの所へやってくるの。 もっと詳しく教えてよ。それじゃ、わかんない。 ふふ、ごめんなさい。でも、大丈夫。会えば分かるわ。 絶対? 絶対。 さぁ、勉強の時間よ。いきなさい。 はぁい。 いっぱい勉強して、強くなるのよ。 …わかってるよ。 そうよね。ごめんなさい。 じゃあ、母さん。晩ご飯に、また。 晩ご飯にね。 遠ざかる息子の姿を母は眺めていた。 彼女の瞳はどこかもの悲しげに揺らめいている。 ああ、彼が運命の人と道を共にする時、私は、私達はその傍らにいない。 そう、見えてしまった。 もちろん、その未来には抗う。 しかし、その未来が過去になった時。 彼の人生が悲劇にならないか。 そんな不安が胸を満たした。 ああ、名前も知らない我が子の花嫁。 どうか、より力強く、私達の子供を支えてください。
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