1人が本棚に入れています
本棚に追加
/6ページ
ガタゴトと轍がある道を馬車が通る。
御者台に座る者はこの国の郵便局の制服を着ている。
郵便局員が視線を挙げると、太く、高く、頑丈そうな門と塀。その間から、白く、大きな屋敷が見えた。
郵便局員が門にたどり着き、馬車を降りる。
門に手を掛けると、見た目とは裏腹にあっさりと開く。
しかし、郵便局員は顔をしかめる。
門が動いた時、まるで地響きのような轟音が鳴り響いたからだ。
自分一人通れる程度開けると、郵便局員は屋敷に向かった。
その時、馬は轟音に慣れているのか。ただ、微動だにしなかった。
「おはようございます」
屋敷の前につく前、狙いすましたように、メイドがでてきた。
「早くからお疲れ様です。今朝は新聞の他に何かありますか?」
新聞は主に首都で作られる。
小さな新聞屋でも国中に行き渡らせるため、郵便局が配達を担っているのだ。
郵便局員はメイドに新聞を渡す。
「ええ、今朝は新聞だけです」
「そうですか。ところで、貴方、新人ですか?」
「はい、今日から配属になりました」
「ふふ、頑張ってくださいね」
「ありがとうございます」
最初のコメントを投稿しよう!