日常

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ガタゴトと轍がある道を馬車が通る。 御者台に座る者はこの国の郵便局の制服を着ている。 郵便局員が視線を挙げると、太く、高く、頑丈そうな門と塀。その間から、白く、大きな屋敷が見えた。 郵便局員が門にたどり着き、馬車を降りる。 門に手を掛けると、見た目とは裏腹にあっさりと開く。 しかし、郵便局員は顔をしかめる。 門が動いた時、まるで地響きのような轟音が鳴り響いたからだ。 自分一人通れる程度開けると、郵便局員は屋敷に向かった。 その時、馬は轟音に慣れているのか。ただ、微動だにしなかった。 「おはようございます」 屋敷の前につく前、狙いすましたように、メイドがでてきた。 「早くからお疲れ様です。今朝は新聞の他に何かありますか?」 新聞は主に首都で作られる。 小さな新聞屋でも国中に行き渡らせるため、郵便局が配達を担っているのだ。 郵便局員はメイドに新聞を渡す。 「ええ、今朝は新聞だけです」 「そうですか。ところで、貴方、新人ですか?」 「はい、今日から配属になりました」 「ふふ、頑張ってくださいね」 「ありがとうございます」
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