日常

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軽く会釈をしてから、郵便局員は屋敷を離れる。 門をくぐり抜け、馬車に乗り、郵便局のある町へ戻っていく。 その様子をメイドはただ見ていた。 郵便局員は誰ともなしに呟いた。 「真面目に生きよう」 「~~♪」 屋敷に入ったメイドは、早歩きで厨房へ向かう。 「あ!おはようございます。ブィナさん!機嫌、良さそうですね。何か良いことありました?」 「おはよう、前から欲しかったコレクションが手に入ったんだ。機嫌も良くなるさ」 声を掛けられたらにもかかわらず、歩を緩めないまま答えるメイド、ブィナ。 長身な彼女の早歩きに、小走りになりながら小柄なメイドは着いていく。 「ブィナさん!もうすぐ朝ご飯ですね」 「そうだな。若様を起こさないとな」 「なら!」「後ろの靴墨を塗りたくった手摺の後始末は、一人でするように、小娘」 「………」 「片付けるまで、朝ご飯抜きな」 「お腹空きました」 ブィナは薄ら笑いを浮かべながら、早足で小柄なメイドを置いていく。 小柄なメイドは、そんな彼女を涙目で黒ずんだ雑巾を片手に見送った。 「おはようございます。若様」
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