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「あっちーな」
有原先輩はいつの間にかシャツを脱ぎ捨てて、小さな換気用の窓に張りついている。
締め切った体育館は、春とはいえ相当に蒸し暑い。
「あのう、有原先輩、パスお願いします!」
ゆっくりと振り向いた先輩の目つきがヤバくて怖い。
仕方なさそうにシャツを着て、有原先輩は立ち上がった。
思った以上に肩幅が広くて厚い。
背丈のわりに足が短いが手は長い。
「ボール持ったか?中学の時のよりでかいだろ」
キツい外見のわりに、喋り方はのんびりとしている。
「あ、ハイ。大きいし重いですね」
「キャッチボールからいこう。ゆっくりでいいから慣れよう」
結構まともなのが意外。
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